【離床について完全解説!!】離床の基本的な知識から正しい手順、必要な離床時間の設定方法までまとめて解説します。(文献付き)

理学療法

どうも、kachanです。

以前にこんなツイートをしました。

今回はこれについて深掘りしていきます。

回復期で働いていた時のお話。

リハビリ以外の時間にも起きてる人は、どんどん良くなるけれど、

寝てばっかりの人は全然良くなりませんでした。

そりゃ当たり前のことで、やっぱり活動量が上がらなければ体力も筋力も上がることはないからです。いわゆる廃用症候群というやつです。

廃用症候群とは?

廃用症候群の定義

安静や臥床によって引き起こされる精神機能をふくむ各種臓器の機能低下と、その結果生じる二次的障害の総称。

安静と臥床の違い

安静:無動・不動あるいは低活動である状態であり、自動運動が可能であるにもかかわらず、医療側の事情で活動量を制限している状態も含む。

臥床:ヒトの長軸方向に対する重力負荷がなくなった状態。

そして、安静臥床とは、安静をとるために臥床という状態を選択しているという意味になります。

臥床に伴う廃用症候群

  1. 筋骨格系:筋力低下、筋委縮、拘縮、骨粗鬆症、高Ca血症
  2. 心血管・呼吸器系:循環血漿量の減少、起立性低血圧、心肺機能低下、血栓塞栓症、換気障害、沈下性肺炎
  3. 泌尿器・消火器系:排尿困難、尿路結石、尿路感染症、食欲不振、便秘
  4. 代謝内分泌系:電解質異常、耐糖能異常
  5. 精神神経系:知覚障害、錯乱、見当識障害、不安、抑うつ、知的能力の減退、協調運動障害
  6. 皮膚:褥瘡

一つ一つ解説しますが、必要のない方は飛ばして下さい。

筋骨格系:筋力低下、筋委縮、拘縮、骨粗鬆症、高Ca血症

筋肉は一日で約3~5%の筋力低下起こすといわれており、
1週間の臥床で10-15%の筋力低下が起きます。

筋力を維持するためには最大筋力の20-30%が、筋力増強には30%以上が必要となると言われ、20%以下の筋収縮では筋力が低下します。それに伴い、筋萎縮が起こり、関節拘縮が出現します。

拘縮は2週間以内に始まり、32週間で拘縮が完成されます。

骨粗しょう症は臥床2wから骨密度の減少が起こり骨密度低下で血中に溶出したミネラルにより高ca血症、場合によっては尿路結石をきたします。

心血管・呼吸器系:循環血漿量の減少、起立性低血圧、心肺機能低下、血栓塞栓症、換気障害、沈下性肺炎

離床させるにおいて一番気をつけることで、起立性低血圧があげられます。

これは、起立性低血圧は臥床4-7日で起こるといわれ、その原因として循環血液量の減少とそれに伴う一回心拍出量の低下に起因、という説の他に心臓の質的低下、動脈圧受容器の反応性低下、筋交感神経活動の障害など諸説あります。

約20日の臥床では最大酸素摂取量は28%低下するといわれ、30年間の加齢よりも心肺機能を低下させるといわれてます。

理由の如何を問わず、1ヶ月以上安静臥床を続けると起立性低血圧が必ず起き、
診断基準は「起立してから3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上あるいは拡張期血圧が10mmHg以上低下すること」とされています。
(全身の血液量は約5000ml、立位によって上半身の500-700mlの血液が下肢に貯留 頸動脈、大動脈弓にある動脈圧受容器が血圧低下を感知しなければ下肢の細動脈に血管収縮を起こさないので脳血流および全身血流は確保できない)

泌尿器・消火器系:排尿困難、尿路結石、尿路感染症、食欲不振、便秘

身体の不活動状態によって骨吸収が亢進されているため尿中ca濃度が上昇しており臥床により尿のうったいもみとめられるため、尿管結石が生じやすくなり、尿路感染を引き起こす可能性が大きくなります。

代謝内分泌系:電解質異常、耐糖能異常

身体不活動で糖処理能力、インスリン感受性が低下、血中に糖が残留している状態となり、先ほど述べたミネラルも血中に残った状態になります。

これによって体内のバランスは崩れ、アシドーシスアルカローシスといった状態になります。
症状としては傾眠・意識障害・痙攣・嘔気・嘔吐・脱力など認められ、大変危険な状態になります。

精神神経系:知覚障害、錯乱、見当識障害、不安、抑うつ、知的能力の減退、協調運動障害

身体の不活動状態によって刺激入力が減少し、高次機能に低下を認めるようになります。
人によっては入院で認知症が進むといったものも多く見られています。

皮膚:褥瘡

寝たきりで気をつけることで褥創があげられます。これは二時間ごとの体交によって予防できるといわれていますが、粘弾性フォームマットレスや上敷二層式エアマットレスなどを使用する場合、体位変換の間隔は4時間を超えない範囲で行ってもよいとされています。

たくさんありますが、これらを回避するためには必要なものとして
離床ということが必要とされます。

離床とは?

離床の定義

手術や疾患の罹患によっておこる臥床状態から、できるだけ早期に座位・立位・歩行を行い、日常生活動作の自立へ導く一連のコンセプト

ではその一連のコンセプト、離床の流れとはどういうものか図にまとめました。

まずは

原因を推測したのち、原因に対してアセスメント、離床計画を立案したのち、準備を整えます。

その後実行に移し、評価を行って、有効であったかを判断します。

離床を阻害している原因の推測

ではまず1つ目の推測について、その因子としては
呼吸機能、循環機能、、疼痛、運動機能、意識状態、精神機能、モチベーションなどあります。

その後、その原因を中心にアセスメントを進めます。
このとき注意するのが予測した因子だけに偏らないよう注意し、すべての因子を評価し確認をしながら全体像をつかむようにすることが大切です。

離床計画の立案

次に離床計画を立案します。ここで行うことは

①離床の開始時期
②離床レベルの設定
 患者さんの持久力や、原疾患の落ち着きの程度を考慮しながら、どこまで離床させるか判断する
 ⇒段階的離床

ここでは医療スタッフが意見を出し合い、進めてもよいかを判断する必要があります。特に初めて行う場合や次のレベルに進める場合は主治医に相談・了解を得た上で行います。

ではその設定方法は「段階的離床」というコンセプトが大切になります。

段階的離床とは?

段階的離床とは段階を追って少しずつ活動性をあげていくものであります。

活動レベルの上昇のほかに、時間的概念としての意味があります。

時間的概念には

  1. 一回の離床において段階的に実施すること
  2. 時間単位で段階的に実施すること
  3. 日単位で段階的に実施すること

そして、血行動態への重力負荷を軽減し、離床による不安をも軽減させることができます。

また、患者さんの血圧調整機能を評価するための重要な手段となり、無理のないように背臥位からベッドアップ、端坐位、車椅子坐位、立位、歩行と継げていく必要があります。

表に分かりやすく書くとこんな感じ↓

そこで必要になるのが、基準になります。

座位耐性訓練の開始基準

  1. 障害(意識障害、運動障害、ADL障害)の進行がとまっていること。
  2. 意識レベルが1行であること。
  3. 全身状態が安定していること。

離床中止基準

  • 強い倦怠感を伴う38.0度以上の発熱
  • 安静時の心拍数が50回/分以下または120回/分以上
  • 安静時の収縮期血圧が80mmHg以下
  • (心原性ショックの状態)
  • 安静時の収縮期血圧が200mmHg以上または拡張期血圧120mmHg以上
  • 安静時より危険な不整脈が出現しているLown分類4B以上の心室性期外収縮、ショートラン、RonTモービッツⅡ型ブロック、完全房室ブロック)
  • 安静時より異常呼吸が見られる(異常呼吸パターンを伴う10回/分以下の徐呼吸、CO₂ナルコーシスを伴う40回/分以上の頻呼吸)
  • P/F比(PaO₂/FiO₂)が200以下の重症呼吸不全
  • 安静時の疼痛がVAS7以上
  • 麻痺等神経症状の進行が見られる
  • 意識障害の進行が見られる

離床の中断基準~再評価の必要性あり~

  • 脈拍が120~140回/分を超えたとき
  • 収縮期血圧に30±10mmHg以上の変動がみられたとき10mmHg程度の変動であれば、5分後の回復や自覚症状で判別。
  • 危険な不整脈が出現したとき(Lown分類4B以上の心室性期外収縮、ショートラン、RonTモービッツⅡ型ブロック、完全房室ブロック)
  • SpO₂が90%以下になったとき
  • 息切れ、倦怠感が修正ボルグスケールで7以上になったとき
  • 体動で疼痛がVAS7以上に増強したとき
  • 起立性低血圧症状(気分不良など)が見られた場合。

では次に施行するための順序についてです。

座位耐性訓練の施行順序

開始前、直後、5分後、15分後、30分後に血圧と脈拍を測定します。

ヘッドアップ30度、45度、60度、最高位(80度)の4段階とし、いずれも30分以上可能となったら次の段階へ進みます。
もし、一段階あげて不可能であったら、一段階さげて再度実施します。

そして、1日2回、朝食・昼食時に施行し、安定したら毎食時に行います。
最高位で30分以上可能となったら車椅子座位訓練を開始する。

離床における注意点

1.ヘッドアップで気を付けること

 ①バイタルサインのチェック
 ②正しいポジショニング
 ③ヘッドアップはゆっくり行う
 ④機能的残気量を意識する
 ⑤Refuling(リフィリング)を意識する

2.端座位・車椅子座位での注意点

 ①運動耐容能を意識する
 ②足底接地を意識する


3.立ち上がりから立位・歩行で気を付けること

 ①起立性低血圧への配慮を継続
 ②運動機能の把握

最終的にどれだけの時間離床させればいいのか?

高齢者の全身的な廃用症候群を予防するためには座位時間を1日4時間以上確保する、活動時間を2時間以上、または4時間以上とる必要があると言われています。

つまり、例えば40分のリハビリが3回あれば二時間の確保はできています。それに10~15分程度の食事が3回あります。のこり1時間~1時間半程度を別のところで組み込むことができれば予防できるのではないかと思われ、リハビリ後に30分の離床を心がければ到達することができます。

他にも、

障害老人の日常生活自立度判定基準で

ランクAは7時間以上、

ランクBで6時間以上、

ランクCで5時間以上

離床することで、日常生活自立度の低下を抑制できる可能性がある。といわれています。

障害老人の日常生活自立度判定基準とは?

障害老人の日常生活自立度判定基準とはJ A B CのランクがありJが一番良く、Cが寝たきり状態であり、それぞれさらに二つに分かれています。

Jランクは交通機関が使える、隣近所なら外出できるで別れており
Aランクは介助で外に出れるレベルでベッドの生活が多いか少ないかで別れており
Bランクは屋内での生活に介助を要し、ベッドでの生活が中心の方で移乗を自力で行えるか行えないかで別れており
Cランクは寝返りがうてるかうてないかで分かれています。


つまり、たとえば患者さんがAランクの人だった人を元の生活に戻そうとするなら先ほど示したように7時間以上、Bランクだった人は6時間以上、Cランクだった人は5時間を目標とし、退院までに病棟離床時間をそこまで可能にすることでその後もその能力を維持し続けることができるのではないかと考えられます。

最後に

先ほどあげた基準を満たしている患者さんは積極的に離床を進めることで廃用予防、ADLの改善が期待できると考えられます。

しかし、離床するためには理学療法士だけの力では限界があります。つまり、離床を進めるにあたり他職種の協力が必要不可欠です。

またただ単にベッドサイドや談話室への離床を行うだけではただ起こしているだけであり、患者さんも不満に思われたり、急に立つなどの転倒リスクにつながる可能性もあります。

そこで看護師や介護士、作業療法士や言語聴覚士などなど、その場のスタッフが連携し、食事や余暇活動などを包括的に考えることでスムーズに離床が進んでいくと思います。

今回はこれで以上になります。

次回もよろしくお願いします。

文献一覧

〇 障害老人の日常生活自立度判定基準に応じて離床時間についての文献 ↓

要介 護 高齢者 に お ける 離床 時 間 と 日常 生 活動作 能力 との 関係

〇その他これのために読んだ文献↓

整形外科術後の早期離床の効果

消化器外科手術 後患 者の 離床 と歩行 自立 状 況

心内血栓が残存した急性期心原性脳塞栓症患者の早期離床

早期離床が 代 謝機能に 及ぼ す効果 に つ い て

離床が呼吸・循環・代謝に及ぼす影響について