『科学的根拠に基づいた医療(EBM)』とは→エビデンスも臨床の経験も患者の価値観も大切にする”最強”の考え方

理学療法

どうも、kachanです。

以前にこんなツイートをしました。

今回はこれについて深掘りしていきます。

<経験談>エビデンス大好き先輩セラピスト

このツイートの先輩は回復期病院で働いていたときの人です。

その当時は1,2年目の新人です。

知識量もなければ、技術もなく、患者さんを見る力もなかったと思います。

でも、患者さんを治したいという気持ちだけは人一倍あったと思います。毎日必死に勉強しては考えて試してみて、評価しての繰り返しでした。

それをやってる所にちょくちょく先輩から聞かれたことがあります。

先輩『それってエビデンスあんの?』

 『多分・・・ないと思います』

先輩『じゃあ、なんでそんなことやってんの?』

僕 『教科書通りのことやっても良くならないので、自分なりに仮説を立てて評価してます』

先輩『いや、そんなんやっても無駄やと思うし、ちゃんと調べて根拠ある治療やらんと』

他にも色々ありましたが、割愛します。

そんなこんなで色々文献調べて、やっても上手くいかず、その先輩に聞いても教えてくれず
良く分からないままにその先輩はいつの間にか辞めてしまいました。

今思えば、ただマウント取りたかっただけの人』なのかなって思ってます。

このツイートに対して返信を頂いた事

もう一度ツイートをおさらい

内容的に喧嘩売ってないかな・・・・?

って思いながら恐る恐るのツイートでしたが、意外にも同意見の方がほとんどでした。

コメントくれた方々本当にありがとうございます。同意見の方がたくさんいて安心しました。

その返信の中でこんなコメントも

初めて見たときは、?マークでした。

ですが、ここに書いてある『EBM』を調べてみると大きな勘違いをしていたことがわかりました。

治療の上で最も大切な EBM(Evidence-based Medicine)という概念

僕が勘違いしていたEBM(Evidence-based Medicine)という概念を解説します。

EBMってなに?

「最善の根拠」を基に、それに「臨床家の専門性(熟練、技能など)」、そして「患者の希望・価値観」を考え合わせて、より良い医療を目指そうとするもの

この概念のポイントは

  • 「最善の根拠」、「臨床家の専門性(熟練、技能など)」、「患者の希望・ 価値観」を考え合わせる医療である
  • 決して臨床家の専門性を否定して、「根拠」となる研究論文だけを頼り にするものではない
  • 「根拠」を基に、患者さんやご家族が医療者と話し合いながら治療方針 を決めていく

近年では、この3つの要素に「個々の患者さんの状態や置かれている環境」が追加されました。

図にするとこんな感じのイメージです↓

肥満している糖尿病の患者さんでも、変形性膝関節症を持っていたら、 膝の痛みのため、一般的には勧められる運動療法を行うことが難しい場合もあります。

同じ患者さんでも地域の診療所と大学病院、または医療制度の異なる日本と米国では、 期待される医療、行われる医療は変わってきます。今日では、このような視点から、 研究の成果である根拠(エビデンス)やそれをまとめた診療ガイドラインを一般論と して参照しつつ、患者さんの個別の状況や、医療の行われる場の特性も考慮して、「より良い医療」を考える必要があると言えます。

そして、医学的根拠があるものでも効果がない人もいますし、臨床経験のある専門家の直感で治ることもあります。

したがって、どっちかが優先されるべきというものでなく、エビデンスも長年の経験も両方を使って最善の選択枝を導き出し、患者さんや家族と話し合って決めていくものということです。

EBMに対するたくさんの誤解

EBM≠エビデンス

「EBM」は「Evidence-Based Medicine」の略で,邦訳は「根拠に基づいた医療」です。

EBMとエビデンスを一緒にされる方がいますが(自分もそうだった)、「EBM」と「エビデンス」は別物です。イメージではエビデンスはEBMの一部でしかありません。しっかり上記の内容を理解しないといけません。

研究結果に統計学的有意差がある≠患者にその治療をすべきである

 二つの研究結果があり、片方の方が統計的に多いからといって、その治療が優れてるという訳ではありません。
それは、「単に比較した場合に優れている」ということであり,「どれくらい優れているのか」という効果の大きさについては触れてない場合が多いです。

例えば、有意差が出なかった研究でも、より患者をたくさん集めれば有意差が出るようになるということです。逆に言えば、わずかな効果しかない治療法で有意差を出そうとするなら症例数を増やせばよいわけで、

いわゆる”大規模臨床試験”というのは、”症例数を増やして大規模にしなければ効果が証明できないほど、わずかな効果しかない治療法であることを証明する臨床試験”ということになります。

つまり、症例数が少ない研究で有意差が出たものほど、効果は大きいことが分かります。”大規模臨床試験”といわれると,効果が大規模だと思っていませんでしたか?

研究結果で判明した治療効果の大きさによっては、実際の診療現場でその治療を選択するだけの価値がないということもあります。ですから,研究結果に統計学的有意差があった場合は,さらに,どれくらいの治療効果の大きさがあったのかを把握することが必要です.

EBMを実践することと≠エビデンスを患者に当てはめること

これは,EBMの誤解の中で,最も多く,また深刻なものです。
「EBMを実践すること」=根拠や臨床の経験を患者さんに押しつけるということではありません。

同じ疾患だからと別の患者さんに同じように治療方針を進めることは、EBMを実践しているとは決して言えません。

エビデンスを重んじることでもなければ、専門家の臨床経験を否定するものでもない

医療者の中には、EBMを毛嫌いする人がいます。
その一方で、何事につけエビデンスを振りかざして話を進める医療者もみられます。

これらはどちらも,“EBM”は“科学的根拠に基づいた医療”であるから、
『エビデンスが最優先されるべき』であるという誤解です。
 しかし、前にも述べたように、EBMの一連の行動のうち、エビデンスはほんの一要素に過ぎません。大切なことは,特定の治療法や検査方法が有効であるというエビデンスを踏まえながらも、医療者自身の臨床技術や経験と、患者さんの嗜好や思いをどう組み合わせていくかということです。

臨床の場面においては、個々の臨床判断について、概して医療者が独善的に決定しがちですが、このようにさまざまな要素を考慮する必要があることから、EBMを実践することはなかなか容易ではありません。
そのため、私たちが参加しているEBMの勉強会やワークショップでは、研究論文の吟味だけでなく、それをどのように臨床現場に適用していくかについて、多くの時間を割いて仲間と議論しています。

最後に:患者さんを良くしたいという目的を忘れないで

長々と解説をしましたが、僕も含めてみんな元をたどれば、
『患者さんを少しでも良くしたい』
という気持ちがみんなあることは確かです。

ただ、どういう考え方で進めていくか、という違いだけです。

もちろん、『EBMが絶対正しいからこれをしなさい』というものではありません。

ですが、こういう考え方もあると正しく理解した上で選択することが、自分のためにも、患者さんのためにもなるんじゃないでしょうか?

EBMの具体的な手順などの詳しい話については、まとめられた記事があったのでこちらをどうぞ

今回はこれで以上になります。

次回もよろしくお願いします。

この記事での引用物

EBMとは? – Mindsガイドラインライブラリ(Adobe PDF)

EBMについて~医療従事者のために~

EBMとは – 公益社団法人 日本理学療法士協会