<学生・新人理学療法士に向けて>脊椎圧迫骨折とは?—基礎知識から治癒過程に応じた対応、治療方法まで解説します。

理学療法

どうも、kachanです。

今回は、今まで見てきた患者で圧倒的に多かった脊椎圧迫骨折について解説します。

回復期時代、圧迫骨折患者は1年間で全疾患の約30%を占めていました。
また、入院中の再発やEnt後の再発もあり長期入院となる患者もたくさんおられました。

けれど、離床時期や方法は症例ごとに判断が必要であり、経験の浅いセラピストでは難渋することがあるように感じます。

そこで基本的な圧迫骨折の考え方や介入方法、圧迫骨折の特徴を知り評価や治療について書かせてもらいます。

脊椎圧迫骨折とは?

脊椎圧迫骨折は、脊椎が押し潰されるように変形してしまう骨折です。骨折の原因の多くは骨粗鬆症が進んで、脊椎が弱くなったため、少しの衝撃でつぶれてしまうのです。

原因は転倒・しりもち・くしゃみなどで起こります。骨折は、背骨の中でも胸と腰の境い目の部分におきることが多いです 。

特徴として

  • 男性に比べ女性に多い。特に閉経を迎えた女性では発生率が高値である。
  • 若年者に比べ高齢者に多い。
  • 合併症として骨粗鬆症を併発していることが多い。
  • 発生部位としては胸腰椎に多く、頸椎はハイパワーエネルギーによる受傷機転が多い。

交通事故などによる重症例や重度な神経障害などでない限りは、ほとんどの高齢者の症例では、手術はなく、保存療法が第一に選択されます。

椎骨の解剖学及び運動学的特徴 

【胸椎】
回旋要素が多く、胸郭を形成するため骨折部の固定性がある。

【腰椎】
矢状面および前額面上の動きが多く回旋はほとんどない。 胸椎に比べ圧倒的に固定性が弱く、軟部組織に依存。

【胸腰椎移行部】
胸椎の動きに加え腰椎の動きも混在し、椎骨中で最もストレスの加わる部位である。

【椎間板】
線維輪の走行は交互に反対方向を向き、回旋を制御。衝撃を緩衝している。

骨折の治癒過程

☆骨折は炎症期、修復期、リモデリング期の3過程があります。

炎症期

2∼3日でピークを向かえ8∼10日。

修復期

骨折後数日に始まる。新しい仮骨は外仮骨といい、カルシウムを含まずゴムの様な柔らかさで強さや安定性に欠け、容易に変形したり本来の位置からのずれが生じます。
X線上には映らない。約25日まで続く。

リモデリング期

 3週∼12ヶ月間で仮骨が石灰化し強固な骨となり、X線上に白く映り始める。

介入方法

炎症期・修復期(発症から約3週まで)

痛みの緩和、整復、固定のため絶対安静が必要な時期。

この時期では『今よりも状態を悪くしないこと』が大事です。
床上生活で必要な寝返り動作や廃用症候群予防として関節可動域訓練や筋力の維持を図ります。
禁忌となる動作の指導も行っていきます。

ここで大切なのが、骨折部位を考慮した運動の禁忌を処方・指導しなければならない

胸椎は回旋が禁忌となり、寝返りや起き上がりに的確な指導が必要。
腰椎は屈曲が禁忌となりギャッジアップ座位や立ち上がりに注意が必要。

リモデリング期

3週が経過しギャッジアップ座位、座位保持を行い徐々に荷重を開始します。
この時コルセットは必ず着用します。

Wolffの法則によると荷重がかかる部分では骨吸収は増加すると言われており、早期からの荷重を行っていく必要がある。

Wolffの法則とは?

骨組織は、刺激が乏しいなかでは萎縮を起こし、通常刺激では骨は維持される程度である。
しかし、少し強い刺激を与えることにより、細胞は生理学的に活性化して増殖が行われる。
また、さらに刺激が強すぎると細胞は破壊され、吸収を生じる。
すなわち、
生理学的限界以上の応力→骨吸収、生理学的範囲内で通常のより高いストレス→骨形成、通常の応力→骨量維持・無変化、応力が加わらない→骨吸収・廃用性萎縮の関係となる。

こちらから引用

しかし、負荷量の設定には注意が必要であり、痛みなどを指標とし慎重に進める必要があります。その後のリハビリとしては、NEEDを考慮しゴール設定に応じたリハビリを実施していきます。

コルセットについて

いつからつけるの?

3週目から化骨が石灰化する時期でありADLもアップするため装着を開始する。

いつまでつけるの?

50日以降は強固な骨に変化するため外し始める時期と考える。
しかし、50日でも不完全であり痛みなどを指標とし徐々に外していく。この時痛みが重度に残存している場合は遷延している可能性が高いため、Dr.にX線を依頼する。

【メリット】
腹圧を高め腰部を固定する。

【デメリット】
腹部の筋力低下。

ダーメンとマックスの違い:ダーメンはマックスに比べ固定性が高い。

治療について

【腰椎後弯による背筋群などの軟部組織への伸張ストレス(二次的な痛み)】
マッサージやROMex、ストレッチなどで軽減。

【腹筋群の短縮傾向】
腹圧を上昇させ体幹を固定するローカルマッスルの筋力増強。早期離床で座位を獲得。

【股関節屈曲可動域】
脊柱や骨盤のアライメント変化により股関節では屈曲が出にくくなるため十分にROMex.を行う。

【ハムストリングス、大殿筋】
座位を用いた方法としては、高座位を取り、腰椎にかかる圧迫負荷を上肢支持で軽減させ動作でハムストリングスや大殿筋の収縮を促す。

治療の注意点としては、

アプローチを進める上で痛みは大きな指標となり、慎重に進める。また、代償動作の出現にも注意し過負荷とならないようにする。

これらの他にも、患者さんによってやることは違いますが、
特によくやっていたものは上記のものだったと思います。

けっこう当たり前のことばかりかもしれませんが、そんな特別なことは必要ありません。

これらをきっちりやっていけば、自然治癒で患者さんは良くなっていきます。

もちろん、これにプラスして起き上がり、立ち上がり、歩行の基本的な動作訓練と指導、再発予防のための動作訓練や環境設定などなどして自宅復帰を目指していってください。

最後に

圧迫骨折はそれほど難しい病態ではありませんが、舐めてかかると痛い目を見ることがあります。

二次的な神経障害や圧迫骨折の再発、臥床が長期化すると廃用症候群が進んだり、認知症もでてきたりなどなど・・・・

そうさせないためにも、きっちり教科書レベルの内容を理解し、それに応じた理学療法を提供していくことが最も最短で患者さんを良くすることだと思います。

他にも、離床の大切さややり方などなどをまとめた記事があるのでそちらもどうぞ↓

今回はこれで以上になります。

次回もよろしくお願いします。