ちゃんと課題を分離できていますか?

理学療法

どうも、kachanです。

今日はアドラー心理学から「課題の分離」について、お話をしたいと思います。

アドラー心理学は有名なもので聞いたことがある人も多いと思います。僕がこれを知ったのは2年ほど前のことでしょうか。患者さんのことで悩んでることがあり、それに対しての考え方としてアドラー心理学を教えてもらいました。

この話を聞いたとき「ちょっと乱暴だな」っていうイメージでしたが、臨床に携わっていくうちに「大事な考え方だな」と思うようになりました。

感情に流されないようにする

では、ちょっとした例え話をしようと思います。

とある夫婦のお話で、夫のほうが病気で、それも進行性の病気です。

どんどん動けなくなっていく人でリハビリの目標も自宅で死ぬまで過ごしたい、少しでも長く維持できるようにという目標です。

少し前までは何とか伝い歩きで歩けていましたが、それもとうとう難しくなっていきました。さらに、外出のために玄関の階段の上り下りが困難になり、介護タクシーを利用するようになりました。

介護タクシーで来てくれる人は毎回同じ人で料金をプラスで払えば玄関の登り降りも手伝ってくれます。夫は大きな身体で小柄な奥さんでは介助ができないため介護タクシーの人に介助をお願いしています。

ですが、その介護タクシーの人は50~60代くらいの腰痛持ちで介護の経験もあまりないのか、上手く下ろすことができません。仕方なく、奥さんと一緒にやっていますが、息が合わず、二人とも腰の痛みを我慢しながら行っています。

奥さんは、外出のたびにその人を呼ぶのはその介護タクシーの人に迷惑だし、腰が痛いのに負担をかけたくないと思いました。

なのでセラピストに向かって「昔病院でやってくれていたリハビリをやって、また階段を登れるようにしてほしい、介護タクシーの人にも悪いし、階段昇降の練習をもっとして私(奥さん)一人の介助で上り下りできるようにしてほしい。」という要望がでてきました。

この時に訪問リハビリを担当している先生が、行うことは何かということです。選択肢としてはもちろん色々あります。

奥さんの納得いくようなリハビリを提供する、もありですし

介護タクシーの人と奥さんに階段昇降の介助方法の指導をする、のもありです。

ですが、ここであくまでも訪問リハビリの先生の立場と役割を考えてみましょう。僕ら理学療法士は理学療法を提供すること、あとは患者・家族に動作指導や環境や福祉用具の提案といったことを仕事にしています。

まず、このたとえ話で問題になっていることの根幹は、「奥さんが旦那さんの病状を理解していない」ということです。リハビリをやれば元に戻ると思っていることですね。そして、この部分の説明をするのが誰かというと、これは医師です。この病状説明は、責任問題になるため理学療法士がしてはいけませんし、変な誤解を生まないために医師に振るべきです。

そして、介護タクシーの人が腰痛持ちの高齢の人であり、患者さんの介助をするのが申し訳ないという奥さんですが、これを感情を抜きで話をしてしまえば、その介護タクシーの会社の問題です。わざわざお金を払っているのですから、できて当たり前、やってもらって当たり前なのです。感情的には「申し訳ないな」という気持ちはわかりますが、腰痛持ちで介助方法に問題があるのであれば介護タクシーの会社にその旨をいって改善してもらうか、会社自体を変えてしまうか、というのが道理です。そして、それを調整するのはケアマネージャーなので連絡して対応してもうべきです。

では、ここで訪問リハビリに来ている理学療法士が行うことは何か?というと

現状の能力の説明とそれに伴ってやることのリスクの説明、本人・家族の希望に対する解決策の提案です。

具体的に話をすると、「現状どんどん筋力が弱ってきている、今の筋力では階段昇降は本人や介助者にとって負担が大きい動作です。できたとしても、リスクが高く、万が一こけたりすると奥さんまで巻き込まれてケガをしてしまう。なので、介助して上り下りするんじゃなくて機械や道具に頼って行うほうが本人、奥さんにも負担や危険がなくできますよ。他にも解決策があるかもしれないのでケアマネや医師にも相談しておきますね。」

ここまでがリハビリの仕事です。実際にその機械や道具が導入できるかを考えるのはケアマネですし、先ほどいった病状理解や介護タクシーの問題のこともあるので他のコメディカルに報告、相談をしましょう。

こうやって、感情でなく立場や役割をわきまえて仕事をすることが大事です。

自分をちゃんと守ろう

上記の内容を見て、「冷たいな」とか「事務的だな」と思う人もいると思いますが、これはあくまでも「自分を守るための考え方」です。

僕らの仕事は患者さんと直接触れ合って行う仕事のため、けっこう感情移入しやすいです。それがダメとはいいませんが、まず前提に自分の仕事とは、どの位置にいて、どれが自分の役割か、をちゃんと認識しましょう。それで、患者さんと家族の問題点をしっかり見抜いてそれが誰の仕事かを考えましょう。これをしないとやり過ぎたことをしたり、過度に自分を責めてしまったりします。

特に新人セラピストは「患者さんのために」という気持ちが強すぎて、気持ちばかり先行して自分の仕事じゃないことまでやってしまいます。その結果、自分に負担がどんどん増えていき、それをさばけなくなって、「俺はなんてダメなんだ」っていう自分を責めていってしまいます。

あとは、誰が責任を取るのかというのも意識したほうがいいです。僕らはあくまでも医師の指示の下、理学療法を提供しています。それを忘れてはいけません。ちゃんと医師に相談して何事も決めていくほうがいいです。そうすれば、責任逃れではないですが、「ちゃんと医師と相談してリハビリ行いました」というのができます。

これが「課題の分離」です。

自分がコントロールできるもの、できないものをしっかり区別をつけて、自分の役割というのをしっかり理解して行動すること。これでたいていの問題は悩むことなく、解決することができます。

最後に

上記で話した内容は「気に食わない」という人もいると思います。最大限患者さんのためにセラピストは動くべきだと考えている人もいると思います。それができる人はどんどんやっていいと思います。気持ち的には、僕もそういう人です。ですが僕の場合は基準を作ってます。基準としては今いる患者さん、他のスタッフの患者さんすべてに同じくらい提供できるならしてもいいと思ってます。なぜなら、「あの人はやってくれているのに私はやってくれない」という話にもなりますし、スタッフによって対応が違うのも会社としておかしいと思います。

そのためには、どこまでその人のためにやるか、という点についてはその中のトップの人と話して「やっていいですか?」という相談をするべきです。

新人や学生にとってはイメージが違うかもしれませんね。でも訪問リハビリは特に現場では、こんな感じです。問題の根っこを見抜いて、仕事・役割を分けて行動して、段取りを考えていく仕事です。そのためには、専門的な知識も必要ですが、他の医療スタッフとコミュニケーションを取ることやそれぞれの仕事・役割を理解することが大事です。

では、以上になります。

最後まで見ていただいてありがとうございます。

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